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化学科、応用化学科、材料工学科、化学工学科の違い(学部生、高校生向け)

2019年10月17日  2019年10月21日 
高校生にとって大学選びは、今後の人生の大まかな方針を決めるための非常に重要な問題です。でも、「化学をやりたいなぁ」と思っても、大学も沢山あるし、化学科、応用化学科、工業化学科、基礎工学科、材料工学科等の学科があり、ぶっちゃけ何を選んだら良いのかわからないと思います。そこで、ここでは大学選びについての記事を書きます。

化学系における理学部、理工学部、工学部の違い

化学系に進むと決めて、考えるのは理学部と工学部の違いです。まず化学系においては、理学部と工学部の違いは、非常に小さいです。高校や塾の先生とか、内部を知らない人は、理学部と工学部が全然違うとか言いますが、内情を知っている人からすると化学系においては理学部工学部はほぼ同じです。理学部だから応用研究ができないとか、工学部だから理学系研究ができないとかはありません。なぜなら多くの教授もその違いをあまり意識していないからです。日本の方針として、産学連携(大学と会社の共同研究)を推奨しており、大学教授も企業と連携した方が研究をやりやすいシステムになっています。一方で、大学教授の80%くらいは、なにかしら基礎研究をやりたいと思っています。
そういう背景から、どこの学科にも基礎研究と応用研究を得意とする先生がいるので、理学部と工学部の違いは小さいのです。

化学科、応用化学科、材料工学科、化学工学科の違い

化学科と応用化学科の違いについては、調べてみると化学科は物質をメインの研究、応用化学科は応用関する研究で全く違うってネットには出てきます。これらの記事は、大学で化学科では無かった人が、記事を書いたんだと思います。

結論 : 化学科と応用化学科の違いはほとんど無いです。ほぼ同じです。


先ほども書きましたが、日本というか世界の潮流として、大学と会社の共同研究を推奨していることと、教授が基礎研究をやりたいと思っていることから、化学科でも応用化学科でも、基礎化学と応用化学に関する勉強が可能です。

小さな違いは、
化学科の方が化学工学に関する授業が無い場合が多い。
応用化学科の方が、企業と連携している先生が多い。
くらいでしょうか。実際のところ違いはほぼ無いです。

化学科と材料工学科(基礎工学科)の違いは、無機化学系研究と計測系研究に違いがあります。
化学科は、有機化学、無機化学(物理化学)の研究室がある。
材料工学科(=基礎工学科)は、無機化学や金属化学や電気化学が強い研究室がある。
材料系学科は名前の通りで、材料として強いものの研究、その測定方法の開発、エネルギーへの応用に強みを持つ場合が多いです。それに加えて、材料系の学科は、歴史的に金属工学科が名前を変えて出来たところが多いので、金属材料について学ぶ場合は材料工学科を選ぶべきです。

化学科と化学工学科(プロセス化学科)の違いは、化学工学に関する勉強量に違いがあります。
化学科は、有機化学、無機化学(物理化学)の研究が行われているが、実用化を見据えてどうやって作るか、効率よく作るかは、ほとんど研究対象ではない。
化学工学科は、化学の知識を元にして、効率の良い製造方法や製造装置の構築、製造工程の設計を行う。化学に加えて流体力学や熱伝導等を勉強する。(就職最強)
大学の学科選びの際には、有機化学を学びたい場合は、(応用)化学科を選ぶと良いでしょう。無機化学を勉強したい場合は、化学科でも材料工学科でもOKです。金属材料を研究したい人と材料工学を勉強したいという人は、材料工学科へ行くと良いでしょう。将来、大きな工場を”作りたい”人は化学工学系に進むと良いでしょう。化学企業は、必ず製造工程を設計する人が必要なので、化学工学は、本当に就職に強いです。
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