ジョブプロット(Job plot)の概要と使用方法、注意
ジョブプロット(Job plot)の概要と実験手順、最新の論文について
はじめに:jobsplotのについて
Jobプロットは、分子同士の会合の比率を求めるために使われる解析手法です。錯体の形成に関する知見を得るために便利なので、現在でも利用されています。最近の論文による反論
最近では計算結果が怪しいという論文も出てきていますが、、、、内容を要約するとBinding Constantが低い場合には適用できないということでした。元論文:Job, Paul (1928). "Formation and Stability of Inorganic Complexes in Solution". Annali di Chimica Applicata. 9: 113–203.
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(最近では、「jobプロットは死んだ」という論文も出ていますが。。。笑)
Brynn Hibbert, D.; Thordarson, Pall (2016-10-25). "The death of the Job plot, transparency, open science and online tools, uncertainty estimation methods and other developments in supramolecular chemistry data analysis". Chem. Commun. 52 (87): 12792–12805. doi:10.1039/c6cc03888c
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会合定数や結合定数や解離定数は、大学の授業で触れているため、実際の測定をするときにも理解がしやすいと思います。一方でジョブプロットは、授業では習う事がありません。しかしながら、会合定数を求めるときに必要な“会合比”を決定するための手段として、ジョブプロットに需要があります。
ジョブプロットの基本的な考え方
ジョブプロットを理解するためのイメージとしては、A + B ⇄ A・B
の時、AとBのモル比がどの時に一番 A・B が多く系中に生成するかということ。
まあ普通に考えて、Aが多すぎてもAが余るし、Bが多すぎてもBが余りますよね。一番余りが少ないところが、会合比と言うことになります。
実際の解析方法(NMRによる解析の場合)
jobsプロットによる解析は、グラフを作成して、その山の頂点が会合比ということになります。注意点は、実験の手順が会合定数とは異なるという事。横軸→ モル比:A/(A+B) 注:(A+B)の濃度は、一定にしなくてはいけないので、AにBを滴定することによって求めることは出来ません。
縦軸→ NMRの変化量×モル分率:δΔ × A/(A+B)
実際の実験操作
2. A:B=9:1, 8:2, 7:3, 6:4, 5:5, 4:6, 3:7, 2:8, 1:9の溶液比率になるように10個のサンプルビンに混ぜ合わせる。
*この操作で、A+Bの濃度を一定にしたまま、Aの比率のみを変えることができる。
3. 全てのNMRを測定する。
4. NMRのシフトの変化δΔ を計算する
5. エクセルでグラフを作成し、頂点から比率を求める。
Jobplotが使えない場合(リミテーション)
○NMRで、A・Bのシグナルがシフトするのではなく、AorBのシグナルとは異なる位置に別のシグナルとして出るときは使えない。○会合定数が小さすぎたり濃度が薄すぎると2:1の会合体のグラフが、1:1会合のグラフのように見えてしまう。
文献によると、binding constant が1000M-1くらいで、0.1Mあれば確実に見えるみたいです。
*強い会合定数を持っていたらまだまだジョブプロットは現役で使えます。
*死んだは言い過ぎではないかな。
The death of the Job plot, transparency, open science and online tools, uncertainty estimation methods and other developments in supramolecular chemistry data analysis". Chem. Commun. 52 (87): 12792–12805.
吸収によるjob plotを使ったことがある人は、コメント欄でやり方とかコツを教えてくれると嬉しいです。
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