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双極子モーメント

2020年8月5日  2021年5月28日 
双極子モーメント

双極子モーメントとは

共有結合の一部は、極性である(極性共有結合)のと同じように、分子全体にも極性が現れる場合がある。分子全体の極性は、結合それぞれの極性と孤立電子ついの極性のベクトルの和によって現れる。このことを双極子モーメントと呼んでいる。双極子モーメント=分子全体の極性=分極のベクトルの和という理解で良い。

つまり
電気陰性度の差によって極性共有結合(分極)により起きるベクトル】

【余った電子からなる孤立電子対のベクトル】

の和であるので、全部のベクトルの和を考えればよい。細かい式も重要だが、『分子の形』を理解していることが最重要となっている。そう考えればイメージはしやすい。

双極子モーメントとは

双極子モーメントの定義

双極子モーメント(dipole moment) は、 ギリシャ文字μで表記される。定義は、分子の双極子のいずれ か1つの電荷(Q)に二つの電荷間の距離(r)を掛けた値 μ=Qrとして定義される。双極子モーメントの単位は D デバイで表される。

この時、1D=3.336 × 10^(-30) C・m と定義されている。(数値まで覚える必要はないが、D (デバイ)は、 C・m (クーロンメートル)から求めることを知っておいて欲しい。

双極子モーメントを計算する時の注意点として【単位変換】がある。通常、電荷の単位は C (クーロン)で表記され、距離は m (メートル)で表記される。そのため、そのまま双極子モーメントμ=Qr を計算すると、単位が C・m (クーロンメートル)になる。

双極子モーメントの定義

双極子モーメントの方向性

双極子モーメントはベクトルである。そのため、分子の形状を考えながら議論する必要がある。同じ向きの双極子モーメントは強め合い、逆向きの双極子モーメントは打ち消し合う。そのため、非極性分子は対称性が高いことが多い。

双極子モーメントの方向性

双極子モーメントの向きの【書き方】に関する議論

 双極子モーメントは、物理化学と有機化学で矢印の向きが真逆との話がある。今回紹介した双極子モーメントの書き方は、有機化学の教科書を参考にしたものなので、+から−に向かう矢印の向きになっている。分極の矢印と双極子モーメントの矢印が、古い教科書で混同してしまったために、有機化学では慣例的に+から−に向かう矢印の向きになっている。

モリソンボイドの教科書で統一して+から−に向かう矢印の向きを用いることになったとのこと(奥山, 梶本, 現代科学 2017年4月58-59ページ)。

双極子モーメントの計算

双極子モーメントの計算について書きます。双極子モーメントは、なんとなくベクトルであることと、分子の極性によって向きが判断できる。程度のイメージを持っていれば、十分であるが、テストとか試験には双極子モーメントの計算が何故か必ず出題される。テスト問題として作るときに、明確な答えを出せる点で出題しやすいからである。ってことで、双極子モーメントの算出を説明する。

問題;電子の電荷1.60×10-19 Cとして、+とーが100pm 離れて存在していたときの双極子モーメントは、下の図の様に求める。まずは、双極子モーメントの定義を確認して、あとは、問題文から与えられた電荷と距離を加える。最後に単位変換をしてデバイにする。これだけで解ける。難しい数値は大体テスト問題に書いてあるので心配はいらない。

双極子モーメントの計算

双極子モーメントのわかりやすい解説動画

解説動画を作ったので勉強の効率化のために見ていただければと思います。

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