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原子軌道(電子軌道)から電子配置・電子スピンまで【s軌道,p軌道, d軌道】

2019年10月29日  2021年5月29日 
大学化学で、まず初めに原子の形と軌道について学びます。
特に、S軌道とP軌道、および混成軌道(SP混成, SP2混成, SP3混成)については、化学の研究を行う上で、非常に大切な概であるため、しっかり押さえておきたい。



前に読むべき記事:大学化学の勉強法(高校化学と大学化学の違い)
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高校時代に習った電子軌道

高校生の時には、“電子が原子核の周りを回っている。電子殻の軌道は、一番内側から K殻、L殻、M殻、N殻...。電子の数は2, 8, 18...”と習いました。しかし、原子って平面じゃないのにどの面を電子が回っているのだろう。とかエネルギー保存則を考えると電子止まったりしないのか?とか疑問が出てきます。
実際は、電子が原子核の周りを回っているということは間違いです。
大学化学では、まず電子が原子核の周りにモヤモヤと存在している。ということを覚えてください。

【大学化学】電子配置、電子軌道、

大学化学の原子軌道【s軌道,p軌道】

大学では、電子が原子核の周りに"存在している"と習います。電子は、非常に小さくどこに存在しているか特定はできません。そこで、電子が存在してそうな場所を波動方程式から数学的に明らかにしました。それがs軌道,p軌道,d軌道です。
*波動方程式は、非常に難しくPCを使って計算したりしますので、これ以上触れません。計算化学に進む人以外は、知らなくても問題ありません。

s軌道 p軌道 d軌道

s軌道は、球状の形をしています。p軌道はダンベル型をしています。d軌道は2つの形を持ちます。波動関数で示されている為、軌道には符号(+ 赤色 or – 青色)がついています。ここでの符号は、電気的なプラスマイナスとは別です。
1つの軌道には2つしか電子が入らないことがルールです。高校で習ったK核L核と矛盾する様ですが、p軌道のx,y,zの方向性を考えると一致します。詳細は次の段落で。
【大学化学】電子軌道【s軌道,p軌道, d軌道】

s軌道 p軌道 d軌道の方向性

s軌道は球状なので方向性がない。pやd軌道は、方向性(x, y, z,方向)がある。この方向性という考えは、将来的に結合角度という概念に繋がる。また1つの軌道には2つしか電子が入らないので、第二周期の電子は s軌道(2個), px軌道(2個),py軌道(2個),pz軌道(2個),となっていて、合計8個入ることができる。これは高校時代に習ったL核に入る電子数と同じになる。




以上がs軌道, p軌道, d軌道の形についての説明です。次の段階で、s軌道とd軌道の電子の埋まり方を書きます。

原子軌道(電子軌道)の表し方

s軌道はp軌道は、それぞれの形やエネルギーを持っている。それを表すために1つの軌道を ー で表記し、電子を ↑ で表記するのが、化学のルールとなっている。電子の↑は ↑ と ↓ があり、それぞれがスピンの向きを示している。縦軸はエネルギーとなっており、一番低い1Sの軌道から電子が埋まっていくという順になっている。軌道の大きさは上に行くほど大きくなる。(画像の一部はwikipediaより)

 

大学化学の軌道のエネルギー準位について

大学化学では、先ほど示したs,p,d軌道のエネルギーの高さを黒い棒線で書きます。+,−のスピンを持つ電子を矢印で表記します。1つの軌道には2つしか電子が入らないことがルールです。電子(矢印)は、エネルギーの低い軌道(下の方)から埋まっていきます。また、基底状態(普通の状態)では、電子の矢印は上下打ち消す様に軌道(黒棒)に入る。これをパウリ(Pauli)の排他原理という。また、同じエネルギー順位に電子を入れるときは、スピン方向(矢印の向き)を同じにして入れていく。これをフントの法則という。
また、それぞれの軌道の埋まり方が、周期表と対応していることも押さえておきたい。

【大学化学と高校化学の比較】電子軌道、電子スピンの対応図

パウリ(Pauli)の排他原理

原子を形成する電子は、回転(スピン磁気量子数)を持つことが分かっている。そのスピンの向きは、+1/2とー1/2で表される。これを矢印で書くと上むきと下向きで書かれる。パウリの排他原理とは、一つの軌道に入る2つの電子は、スピン方向が逆になることが安定であるという考え方。
【大学化学】パウリの排他原理

フントの法則

エネルギー準位が同じ軌道に電子が入るとき、電子は、スピン(矢印の向き)を揃えて軌道に入る。複数の軌道(黒い棒)の間で電子が向きを揃えて入ること。
【大学化学】フントの法則
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