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高分子の数平均分子量、質量平均分子量

2021年3月9日  2022年11月28日 

高分子の分子量について

高分子は大学でも人気がある範囲で、有機化学の好きな人が次に勉強する範囲でもある。一方で、高分子科学は、分子量が決められないため、数学的に考えなければならないという点が難しいところだ。なので、高分子化学にも合成方面と物理化学方面に分かれている。どちらの高分子を勉強するにしても、必ず必要なのは高分子の分子量に対する考え方だ。なにせ高分子は、単一分子ではないので分子量をそのまま使うことができない。

 それでも分子量がわからないと高分子を化学として扱うことができない。そこで必要になってくるのが高分子の【数 or 重量】の平均分子量という考え方だ。

高分子の分子量の定義

高分子の分子量は、『何を基準にするか』で統計手法に応じて、さまざまな平均値を定義されている。一般的には、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、粘度平均分子量(Mv)の4つの平均が知られている。ポリマー分子は、同じタイプのものであっても、サイズ(ポリマー鎖の長さ)が異なるため、平均分子量は平均化の方法によって異なる。


数平均分子量(Mn)

数平均分子量を決定する方法。数平均分子量は、それぞれn個の高分子の分子量を合計し、nで割ることによって決定されます。簡単に言うと、高分子鎖 1本あたりの重さ(g)です。計算で分子量を計る時に利用します。

数平均分子量の使用用途は、繰り返し単位の官能基の個数を合わせたり、官能基の反応をしたりする時です。つまり、高分子の『反応』をコントロールするために使われる指標です。

数平均分子量を調べる方法は、浸透圧法や末端木定量法によって分析することが出来る。



重量平均分子量(Mw)

重量平均分子量(Mw)とは、 ポリマー中のi成分の分子量を Miとして、重量分率を wi,分子数を Ni とした時に、重量平均分子量 は以下の式で表される。各成分の分子量にその重量分率を掛け合わせた量の総和に相当する。

重量平均分子量(Mw)は、長い分子量の影響を受けているので、高分子の物性を評価する時の指標になる。

重量平均分子量(Mw)を調べる方法は、光散乱法や沈降平衡法が用いられる。



Z平均分子量(Mz)

Z平均分子量は、重量平均分子量と近い意味を持ちます。簡単に言うと、重量平均分子量よりさらに高分子量体の寄与を考慮したものが Z 平均分子量になります。

ちなみにZ平均の”Z”の意味は、遠心効果のZから来ているそうです。由来は、遠心力のドイツ語:Zentrifugalkraftからだそうです。(大学の先生でも知らない人多いんじゃないかな・・・)

なぜ遠心力かというと、Z平均分子量は、遠心力を利用した沈降平衡法を使用して分析することで分析出来るから、Z平均分子量と呼ばれています。



粘度平均分子量(Mv)

粘度平均分子量は,ポリマーの分子量分布の広さの尺度で、数平均分子量,重量平均分子量の中間値を示します。 それは定数aの値が0.5~1で中間値をとっているからである.これは、ポリマーの分子量分布の広さの尺度です。つまり、多分散度指数が大きいほど、分子量分布が広くなります。 ここで、[η]は固有粘度、α、KηはMark-Houwinkパラメーターです。 これらの2つの量は、多くのポリマーで測定されています。






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