混成軌道【sp3混成軌道, sp2混成軌道, sp混成軌道の違い】
混成軌道とは
原子から分子が出来上がるとき、s軌道やp軌道はお互いに影響を与えることにより、『混成軌道』を作り出します。今回は、sp、sp2、sp3の 3 種類の混成軌道を知ることで有機分子の形状や特性を学ぶための基礎を作ります。
前回の記事【大学化学】電子配置・電子スピンから軌道まで【s軌道,p軌道, d軌道】
混成軌道について(原子軌道:s軌道, p軌道との違い)
基本的な原子軌道(s軌道, p軌道, d軌道)については、以前の記事で説明しました。おさらいをすると原子軌道は、s軌道は、球状の形をしています。p軌道はダンベル型をしています。d軌道は2つの形を持ちます。波動関数で示されている為、電子はスピン方向に応じて符号(+ 赤色 or – 青色)がついています。これが原子軌道の形なのですが、これだけでは正四面体構造を持つメタンを説明できません。そこで、s軌道とp軌道がお互いに影響を与えて、軌道の形が変わるという現象が起こります。これを混成と呼び、それによって変形した軌道を混成軌道と呼びます。
混成の種類は三種類です。sp3混成、sp2混成、sp混成があります。原子が集まって分子を形成するとき、混成によって分子の形状が決まります。また、これらの軌道の重なりから、原子間の結合が形成するため基礎中の基礎なので覚えておきましょう。
*結果ありきの考え方でずるいですが、分子の形状から混成軌道がわかります。
混成軌道の種類(sp3混成軌道・sp2混成軌道, sp混成軌道)
混成軌道には3種類が存在していて、sp3混成, sp2混成, sp混成が有ります。3とか2の数字は、s軌道が何個のp軌道と混成したかを示しています。
sp3混成軌道
1つのs軌道と3つのp軌道が混ざり合って(混成して)出来た軌道です。空のp軌道は存在しません。一つの結合角度が109.5ºである。NH3の場合には、孤立電子対に占有された軌道ができ、結合角度が少し変化する。sp2混成軌道
1つのs軌道と2つのp軌道が混ざり合って(混成して)出来た軌道です。結合角度は120º。
sp2混成軌道の場合では、混成していない余りのp軌道がそのままの状態で存在してます。このp軌道がπ結合に使われること多いです。下では、エチレンを例に示します。sp2混成軌道同士でσ結合を作っています。さらに混成してないp軌道同士でπ結合をしています。これにより二重結合の形成されています。
sp混成軌道
1つのs軌道と1つのp軌道が混ざり合って(混成して)出来た軌道です。結合角度は180º。
sp混成軌道の場合では、混成していない余り2つのp軌道がそのままの状態で存在してます。このp軌道がπ結合に使われること多いです。下では、アセチレンを例に示します。sp混成軌道同士でσ結合を作っています。さらに混成してないp軌道同士でπ結合を2つ形成してます。これにより三重結合が形成されています。
混成軌道のまとめ
混成軌道を理解する上で、形に注目することが今後の有機化学を理解する時に大切になってきます。量子化学的な側面は、将来的に気になったら勉強すれば良いですが、まずは、混成軌道の形を覚えて、今後の有機化学の勉強に役立てていきましょう。動画の解説も作りましたので、理解に役立つと期待しています。
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