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13C-NMRの解析

2019年9月5日  2020年1月11日 

13C-NMRとは

NMRによって、化合物の "C(カーボン)" に関する情報を知ることができる。有機化合物は、必ずCを持っているので、論文投稿には必ず必要になる。一方で、1H-NMRと比べて、感度がとても悪い。また、得られる情報が、炭素の数と官能基に関する情報のみなので、1H-NMRを測定した後に、必要なら測定をするという感じになります。教科書的にはDEPT等の測定方法を勉強しますが、実際は13C-NMRのプロトン完全デカップリング(CPD:全てのCのシグナルが同時に出るもの)ばかり使ってます。

13C-NMRの解析手順

13C-NMRの解析は、原理とか難しいことは悩まず、以下の手順で解析する。

  • 1. NMRを測定する
  • 2. ピークの数を数える
  • 3. ピークの位置(化学シフト:ppm)を文献値と比較する

これだけ。1H-NMRとは異なり、積分値とか割れ方とかは、全く考えません。NMRチャートで見るのは、シグナルの本数と化合物のCの数が合っているかということを見るのがほぼ全てです。


13C-NMRの測定

13C-NMRは、感度が非常に悪いので、積算回数を多くする必要があります。そのため、1時間以上の測定時間が必要です。

ピークの数を数える


13C-NMRを初めて解析する人は、スペクトルの何を見たら良いかよくわからないと思う。1H-NMRにおいては、ピークの場所と割れ方が重要ですが、13C-NMRにおいては、ピークの本数と出ている場所のみ考えれば良いです。まずは、"ピークが何本出ているか"を見ます。溶媒のシグナル以外に何本出ているか調べて、その本数と化合物から予想できるピーク本数が合っているかを考えます。図のように化合物の出るであろう炭素ピークと13C NMRのピーク数が一致すれば良い。



ピークの位置(化学シフト:ppm)を文献値と比較する

分子構造の推定がかなり難しいし、わけがわからないと思います。次にNMRの解析で行うのは、文献表との比較です。一応、それで化合物のパーツの情報(どんな官能基があるか)が分かります。でも、実際は1H-NMRから官能基の判定をした方が分かりやすいので、13C-NMRを使った官能基の推定は、1H-NMRのデータのサポート的な役割が強いです。
*化合物のパーツの情報は、1H-NMRで推定できてるはずなので、それと整合性が取れているか確認して、13C-NMRの解析は終了です。
13-NMRの帰属(化合物のどの"C"がどのシグナルに対応するか)は13C-NMRのみから決定することは、できません。13C-NMRの完全な帰属のためには、HSQCを測定することが必須です。








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