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有機反応全体のまとめ (求核置換反応Sn1, Sn2, 求電子置換反応, 脱離反応E1, E2, 求核付加反応, 求電子付加反応)

2020年5月11日  2020年5月18日 

有機反応全体を理解するために(動画前半)


有機反応は、大きく分けて電気的性質で解釈されている反応と分子の軌道により解釈されている反応の2種類があります。この記事では、電気的な解釈による反応(求核置換反応Sn1, Sn2, 求電子置換反応, 脱離反応E1, E2, 求核付加反応, 求電子付加反応)の違いや区別方法について書いていきます。実は有機化学の反応の一つ一つは細かい電子の動きや定義を考えていかなければいけませんが、一方で、有機反応の全体像を大まかに理解する・知ることで一つ一つの反応を理解しやすくなります。そこで、まずは大まかな概要をイメージで理解して、それぞれの反応の概要を掴み、これらを軸として深い解釈ができる様にすることを目指します。もっとも基礎的な考え方としては、下の様になっています。






有機反応の全体像を理解するために。 

ますは全体像を理解するために基礎的な考え方と用語を頭に入れよう。

有機反応の基本的な考え方:分子は楽な方へしか進まない『クズ』だ!!

化学反応は、基本的にエネルギーが低い方へしか進まない。反応する場所に邪魔なものがあれば、それを避けて反応する(orそもそも反応しない)し、反応に大きなエネルギーが必要なもの(脱離しにくい等)場合は、反応しない。つまり分子は頑張らない。さらに言えば、共鳴ができる分子の一箇所だけ高エネルギー状態になった時には、すぐにエネルギーを分散して、楽になろうとする。つまり分子は、辛さを周りに広めることで自分は楽をしようとする。また、分子は炭素に大きな官能基(ヨウ素基等)がついていると結合が切れやすい。つまり分子は大きな官能基は、手が疲れるからすぐに手放す。クズやん。。。奴らが頑張るのは光でシリを叩いて励起する時くらいなんだよな。

つまり、分子はクズであり、クズな思考をすることが化学反応を理解する上で大切なことなんだ。


分子中の官能基の動きに着目した言い方

置換反応:置き換わる反応。脱離反応:取れる反応。付加反応:くっつく反応。とにかくこれだけ覚えておけば良い。

反応中の電気的な性質に着目した言い方

求核反応:核(+)を求める反応。求電子反応:電子(ー)を求める反応。とにかくこれだけ覚えておけば良い。

注意点(頭の片隅に入れておいて欲しい)

有機反応は、2種類以上の反応が起きることは普通にあります。つまり、答えが一つではない場合が多いです。そのため、テストや知識を証明する場所では、最も出来ている確率が高いものを答えましょう。一方で、将来的に研究や開発へ進むことを考えると、複数の反応が同時に起きていて、そのうちの一つが**反応で、副反応として××反応が起きているであろう。と言う考えを持つ様にしましょう。

有機反応の種類と見分け方について:求核置換反応Sn1, Sn2, 求電子置換反応, 脱離反応E1, E2, 求核付加反応, 求電子付加反応(動画後半)

基礎的な有機反応には、求核置換反応(Sn1, Sn2), 求電子置換反応, 脱離反応(E1, E2), 求核付加反応, 求電子付加反応があります。前半で学んだ置換反応/脱離反応/付加反応と求電子的/求核的および1分子/2分子の組み合わせで、どのような反応になるかを考えると良いでしょう。




置換反応

置換反応では、分子にくっついて何かが取れると言う反応です。下のポンチ絵で描ける様なものを置換反応と呼びます。置換反応には求核置換反応(Sn1反応, Sn2反応)と求電子置換反応があります。




求核置換反応 Sn1反応, Sn2反応

求核置換反応とは、とある分子に対して、求核剤(マイナスの性質を持つ)が反応して、一部が置き換わる反応です。


Sn1反応

Sn1反応は、先に脱離基が取れてカルボカチオン中間体が発生して、それに求核剤(Nuと表記)が攻撃することで反応する。カルボカチオンの空のp軌道の両方から攻撃することができるので、キラル化合物はラセミ化する。




Sn2反応

Sn2反応は、先に求核剤(Nuと表記)が攻撃することで、遷移状態を経て反応が進行する。必ず脱離基の逆側から求核剤(Nu)が攻撃するので、キラル化合物はラセミ化しない。分子の形状は反転する。




求電子置換反応

求電子置換反応とは、とある分子に対して、求電子剤(プラスの性質を持つ)が反応して、一部が置き換わる反応です。芳香族の配向性の説明の時に使われています。



脱離反応

脱離反応は、反応前と後を比べて、分子から何かが取れるだけの反応です。一般的に、脱離反応をすると、不飽和結合(二重結合などの多重結合)が生成します。脱離反応の分類には、E1(一分子)脱離とE2(二分子)脱離の2種類があります。





脱離反応の種類




E1脱離反応

SN1反応と似ていて、まず脱離基が取れてカルボカチオン中間体を生成する。そして、カルボカチオン近辺のプロトンを塩基とることで反応する。Sn1反応と似ているので、求核剤(求核攻撃をする)と塩基(Hを取り去る)の役割の違いを理解することにより、Sn1とE1のどちらの反応が優先的に進行するかを判断できる。もちろん両方起きることもある。

E2脱離反応

E2脱離は、SN2反応と同様に遷移状態を経て反応し、プロトンと脱離基の脱離が同時に起きる反応。



付加反応

付加反応は、反応の前後を比べて何かがくっつくだけの反応です。主に求核付加反応と求電子付加反応があります。



求核付加反応

求核付加反応とは、とある分子に対し、求核剤(マイナスの性質を持つ)が反応して、くっつく反応です。ポイントは置き換わり(官能基の脱離)が起きないのでくっつくだけの反応です。




求電子付加反応

求電子加反応とは、とある分子に対し、求電子剤(プラスの性質を持つ)が反応して、くっつく反応です。ポイントは置き換わり(官能基の脱離)が起きないのでくっつくだけの反応です。


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