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SN1反応【大学化学】

2021年2月26日  2021年4月10日 

大学での有機化学反応を学習するときに、まず出てくるのがSN1反応、SN2反応という求核置換反応についてだ。大学では、ついつい各論(ケースワーク)を教えてしまうため、勉強する側としては暗記ゲーだと思って放り投げてしまう。求核置換反応は、何かがくっついて何かが取れるだけの話だ。これだけ覚えておけばよい。そこで本記事では、反応の速度に注目してSN1反応とSN2反応を真の意味で理解する方法を記す。

SN1反応

SN1、SN2反応を理解するための反応の速度【反応速度論】

SN1反応・SN2反応を理解するためには、『どこが早いか』をイメージするだけで良い。このイメージこそが反応速度論である。反応速度論って聞くとめちゃくちゃ難しい数式を想像してしまうが、そんなのは最終的には物理化学でやる話で、そんなに細かい話はいらないし、どんなに数式を使おうが、単純にどこが早いかを話しているだけなのだ。

反応速度論=どこが早いか。

これだけ覚えておこう。さて、本格的に反応速度論の話に入ろう。まずは、化学式すら使わずに『求核置換反応の本質』について書いてみる。本質を理解するために、図形だけで求核反応を考える。

※余談だが、本質を理解するためには、とにかく必要な情報のみを記載した単純な絵を書くと良い。こういう考え方は、研究を始めるときに隠れた武器になるので早めから鍛えておこう。

つぎに考えるべきは、この2つのルートのどっちで反応が起きるかであるが、正解は、両方のルートで反応が起こる。が正解。つまり反応は100%SN1反応とか100%SN2反応とかにはならない。『90%がSN1反応で10%がSN2反応』みたいなことが起こる。99.99%はSN1反応で0.001%はSN2反応の場合は、『SN1反応で反応が進行する』って記載されていると考えてよい。これは表記の問題で、問題を書いてる人が悪い。ということで、あとは『速度論的にどっちが早いか』を考えておけば良い。

今回は、SN1に注目して解説を行う。

※余談だが有機化学では、100%その反応が進むことはない。だからこそ、いろんな反応が起こる中で、これの収率が高い。って話で、問題が作られている。そして、100%その反応が進むという考えを前提にしたテスト問題や授業はわりとクソだと思ってる。でも主生成物で議論するしかないからそうしてる。だからちゃんと考えてる先生の問題には、『生成物を書け』ではなくて『【主】生成物を書け』と書かれているはずだと独断と偏見を持っている。

SN1反応(中間体を経由する反応)

SN1反応は、基質から脱離基が外れることが律速になっている反応である。1分子で勝手に反応が進行するっていうのがSN1反応と覚えておけばよい。SN1反応の律速段階はカルボカチオンの生成になるので、安定化されたカルボカチオン中間体が生成するときはSN1反応が有利であるし、カルボカチオン中間体が安定であればあるほど, SN1反応は速くなる。

SN1反応は基質の構造,脱離基,求核試薬,溶媒によって強く影響される。これらを理解して、 遷移状態のエネルギー準位を下げる、あるいは基底状態 のエネルギー準位を上げるか,いずれかによって遷移状態のΔGを低くする要因はSN1反応を速くするため重要概念である。

基質の構造による安定化

SN1反応では、反応の始まりがカルボカチオン中間体の生成であり、中間体の生成が律速となっているので、基質が中間体を安定化する方が反応が進行する。中間体の安定化の要因としては、誘起効果、共役による安定化や超共役による安定化が効いてくる。

溶媒効果による安定化

S N 1反応は律速段階で不安定なカルボカチオン中間体の形成を伴うため、これを促進できるものはすべて反応を加速します。選択される通常の溶媒は、極性(一般にイオン中間体を安定化するため)とプロトン性溶媒(特に脱離基を溶媒和するため)の両方です。典型的な極性非プロトン性溶媒には、水とアルコールが含まれます。これらは求核試薬としても機能し、このプロセスは加溶媒分解として知られています。

SN1反応の反応性

SN1反応の副反応→E2反応

2つの一般的な副反応は、脱離反応とカルボカチオン転位です。反応が(エントロピーの増加に有利な)高温の条件下で行われる場合、E1の脱離が優勢になり、アルケンの形成につながる可能性があります。低温の場合は、S N 1反応とE1反応は競合反応である。

SN1反応 副反応 E2 脱離

SN1反応の反応例

具体的な反応例を紹介します。





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