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共有結合・極性共有結合・イオン結合

2019年10月30日  2021年5月28日 

高校化学までは,化学結合は、共有結合かイオン結合と言われてきた。大学化学では、結合する分子同士の電気陰性度をキーワードに共有結合、極性共有結合、イオン結合の3種類に分類するところが重要です。

結合の種類を決めるのは電気陰性度が重要

電気陰性度とは、原子が持つ電子を引き付ける力の強さです。周期表の順番に従います。この数値が大きいほど、強く電子を引きつけます。この電気陰性度の相対的な差が結合の極性を決定して、イオン結合、極性共有結合、共有結合かが決まります。

イオン結合・共有結合・極性共有結合

結合には、いろんな結合がありますが、基本的な分類はイオン結合・共有結合・極性共有結合の3つを覚えていれば良いでしょう。実際のところは、完全にイオン結合とか共有結合と分けて覚えるのは、正解ではありません。ちょっとイオン性、ちょっと共有結合という状態があるのです。そのため、結合の種類と定義は覚えておくとよいですが、研究室で研究が始まったら結合の定義に縛られすぎないようにしましょう。

イオン結合

プラス(+)電荷の原子とマイナス(ー)電荷の間に働く引力(クーロン引力)によって形成される原子同士の繋がりをイオン結合と言います。たとえばNaClは、イオン結合を形成します。それは、NaとClの電気陰性度の差が大きく、ClがNaから完全に電荷が偏った状態になっています。

共有結合

原子同士の軌道の重なりによって出来る結合を共有結合と言います。例えば、エタンのC–C結合は、共有結合から成り立っています。それは、CとCの間でsp3軌道同士が重なって2つの電子を共有しているため、共有結合を形成しています。エタンの場合は、電気陰性度が等しい為、電気的な偏りが無く結合しているため非極性です。

極性共有結合

原子同士の軌道の重なりによって出来る結合を共有結合のうち、電気陰性度の差があり分極しているものを極性共有結合といいます。クロロメタンのC–Clは極性共有結合から成り立っています。CとClではイオン結合になるほどではないが、電気陰性度の差が大きいからです。この時に生じる電子の偏りを分極と呼びます。また、別の言い方として、誘起効果とも呼ばれています。電子の偏りの向きを示す矢印を双極子モーメントと呼びます。

共有結合・イオン結合・極性共有結合のまとめ

本稿では、代表的な結合として共有結合とイオン結合および極性共有結合を紹介した。ここで一番注意して欲しいのは、明確にイオン結合と共有結合を分けて考えるのは、化学の初歩だけに留めておいてほしい。なぜかと言うと、イオン結合と言われていても、全く軌道の相互作用が無いかというと、少しは軌道の相互作用もあるからからである。厳密に言えば、全部共有結合の性格も持っているのです。言葉としては、分けて覚えるべきだが、現象としては、電気的な引力と軌道の相互作用の両方が結合に関わっていると知って欲しい。あと、大学院ー研究者レベルの話ですが、『結合』というものには、非共有結合や水素結合、ハロゲン結合などがある。概念を広げるとππ相互作用もπ結合と呼んだりする。詳しくは、そのうち記載したいと思う。今回は結合について記載した。

共有結合、極性共有結合、イオン結合の違い

このような電荷の偏り(双極子モーメントや誘起効果など)は、化学反応や物質の溶解性を決める重要なパラメーターとなりますので、しっかり理解することをオススメします。
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