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SN2反応【大学化学】

2021年3月1日  2021年4月10日 

SN2反応(遷移状態を経由する反応)

SN2 反応は,入ってくる求核試薬が,置換される脱離基の反対側から反応する。そのため1段階反応で起こる。そのため、反応前後では立体が反転する。

SN2反応も基質の構造,脱離基,求核試薬,溶媒によって強く影響される。これらを理解して、遷移状態の活性化エネルギーを下げるように反応を組み立てると良い.

SN2反応

 SN1とSN2の違いは、反応の途中がどうなっているかで判断することが出来る。遷移状態を経由する場合はSN2反応で中間体を経由するのがSN1反応。また、SN2反応とSN1反応が競合したり、脱離系の副反応も起きるのでするので、100%反応が起きることはないと考えていい。とにかく、有機化学の反応を考える時は、いち・ゼロで反応が進行すると考えると、混乱して分からなくなるので気を付けるとよい。

SN2反応の反応基質

 基質は、反応速度を決定する上で最も重要な役割を果たす。これは、求核試薬が基質の裏側から攻撃し、脱離基の結合を切断して、炭素と求核試薬の結合を形成するのに必要である。したがって、S N 2反応の速度を最大化するには、基質の裏側を攻撃しやすいように妨げないようにする必要があります。これらのメカニズムから、メチル基質と1級が最も速く反応し、次に二級基質が続く。三級基質は、立体障害のため、SN2反応は起こらない。脱離基が簡単に抜けて安定カチオンを形成する構造の化合物は、SN1反応と競合する。

求核試薬

 求核試薬の反応性は、立体障害の影響を受けます。例えば、メトキシドのような立体障害の少ない求核試薬は、『塩基としても働く可能性』と『求核試薬として働く可能性』があるが、立体障害が小さいので求核試薬として反応性を維持している。一方、tert-ブトキシドは強塩基あるが、3つのメチル基が立体障害であるため求核試薬として働かない。求核試薬の強度は、電荷と電気陰性度の影響も受ける。求核性は、負電荷が増加し、電気陰性度が減少すると増加する。

例えば、OH-水より良好求核試薬であり、そしてI-はBr-より良好な求核試薬であります(極性非プロトン性溶媒中)。極性非プロトン性溶媒では、溶媒と求核試薬の間に水素結合がないため、求核性は周期表の列で増加します。立体障害がない場合は、求核性は塩基性=求核性となります。

溶媒

 溶媒は求核試薬の周囲を取り囲むため、溶媒は反応速度に影響を与える。極性非プロトン性溶媒のテトラヒドロフランは、SN2反応に適している。プロトン性溶媒は、極性プロトン性溶媒がするので、求核剤に対して水素結合を生じるため、求核剤の攻撃を妨害する。極性の非プロトン性溶媒は、SN2反応に有利に働く。極性非プロトン性溶媒の代表例には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトンなどである。

脱離基

 脱離基の注目すべき点は、陰イオンと脱離後の安定性と炭素との結合の強さの2つが影響を与えます。脱離基の共役塩基が安定しているほど、反応後の総合的なエネルギーが低くなるため、反応が進みやすくなります。脱離基としては、ハロゲン化物(F以外)およびトシル基がある。

SN2反応の副反応はE2反応

 S N 2反応で起こる副反応はE2脱離。求核試薬が、求核試薬としてではなく塩基(H引き抜き)として働いて、プロトンを引き抜いてアルケンを形成することでE2脱離が進行する。この経路は、立体障害のある求核試薬に適している(立体障害により、求核性が下がり塩基として働くようになるため)。脱離反応は、エントロピーが増加するため、高温で優位に進むようになります。

エントロピーが増大するって意味不明だけど、エントロピーが増大する時は系の自由な分子の数が増えるということなので、単純は反応の時は、反応前後で分子の数が増えればエントロピーは増大する。(超分子や自己集合系では、分子の数だけを考えると溶媒とか絡んでくるのでよく分からなくなるけどそれはまたの機会に話します。教科書レベルの話には絡んでこないので)




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