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IBX酸化の教科書

2019年6月6日  2021年2月16日 

IBX酸化の方法と知識

IBX:2-ヨードキシ安息香酸(2-iodoxybenzoic acid)を用いた酸化の利点

酸化反応は、有機合成によって分子を作るときに必要になる反応です。中でもアルコールの酸化は、教科書にも載っている基本的な酸化反応と言えます。一方で、適切な酸化剤を選ばなくては、アルデヒドで反応を止める事ができません。その様な中で、IBXは酸化剤として有用で、特に1級アルコールの酸化によってアルデヒドの合成が可能です。また、1,2-ジオールからジケトンを作る反応として有用(他の酸化法だとジオールの根元の炭素同士が開裂してしまうため困難)。DMSOにしか解けないという低い溶解性を利用すると、分離が簡単である。1級アルコールからアルデヒドを合成することができるデスマーチン試薬の前駆体としても有名です。

IBX:2-ヨードキシ安息香酸の合成方法

2-ヨード安息香酸 (CAS番号.88-67-5)と水をいれ、そこにOxoneを1.3等量加える。
これを70ºCに加熱しながら3h攪拌する。反応前は、白色の懸濁液で、反応後も白色の懸濁液であるため、変化は見られない。これを濾過して固体を白色の固体を回収する。定量的に反応が進行するため、収率は100%に近い。
得られた固体を水で洗浄(5回くらい)した後、アセトンで洗浄して、白色固体を得る。
試料の乾燥は、自然乾燥により行う。潜在的に爆発の危険性があるので、真空乾燥をしない。
J. Org. Chem. 1999, 64, 4537-4538 https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/jo9824596


IBX酸化の合成条件(反応例)

IBX(アルコールに対して1.2等量)をDMSOに溶解する。
反応基質のアルコールを加え、室温で3h程度攪拌する。
エーテル/水で分液を行いDMSOを除去し、有機層を回収することで、目的のアルデヒドを得る。
*生成物が水に溶けない場合は、水を加えて沈殿させても良い。
真空乾燥により、溶媒を除去して合成完了!
アルコールとIBXの比率が大体合っていれば問題なく進行します。脱気も脱水も必要なしで、オープンエアーで混ぜるだけ。ビーカーでも十分反応できます。

Frigerio, M., & Santagostino, M. (1994). A mild oxidizing reagent for alcohols and 1,2-diols: o-iodoxybenzoic acid (IBX) in DMSO. Tetrahedron Letters, 35(43), 8019–8022. doi:10.1016/0040-4039(94)80038-3


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